Joint outpatient clinic関節外来(ひざ・股関節)

当院では、ひざや股関節の痛みに対する専門的な治療を行っており、
関節鏡手術、骨切り術、人工関節手術など、
患者様一人ひとりの状態に合わせた治療法をご提案しています。

人生100年時代を迎えた今、「健康寿命」をいかに延ばしていくかが重要なテーマとなっています。ひざや股関節の痛みを「年のせいだから仕方ない」と我慢してしまう方も少なくありません。しかし、痛みを放置すると、日常生活の動きが制限され、趣味や外出が困難になるだけでなく、寝たきりに近い状態を招くこともあります。 私たちは、地域の皆様が“自分の足で立ち、歩く”というあたりまえの日常をできる限り長く保てるよう、「関節外来(ひざ・股関節)」を開設しました。ひざや股関節の痛みでお悩みの際は、どうぞお気軽にご相談ください。

当院の関節外来
(ひざ・股関節)の特長

1. 体に負担の少ない最小侵襲手術(MIS)を取り入れた人工関節手術

MIS(Minimally invasive surgery)とは、筋肉や皮膚などの軟部組織への負担を最小限に抑える手術方法です。現在では皮膚の切開も小さくなっていますが、最も重要なのはその下の筋肉や組織へのダメージを減らすことだと考えています。 組織の損傷が少ないことで、術後の痛みが軽く、早期の回復や社会復帰が期待できます。ただし、傷を小さくすることにこだわりすぎて、筋肉を傷めたり、人工関節の設置精度を犠牲にしてはいけません。 私たちは、安全で正確な手術を第一に、必要に応じて柔軟に対応しながら、MISを取り入れています。

人工関節手術とは?

関節は日常生活の動作に欠かせない重要な部分で、その表面は軟骨に覆われています。加齢とともに軟骨がすり減ると、痛みや動きの制限が現れ、歩行や生活に支障をきたすことがあります。 人工関節置換術は、傷んだ関節を金属やセラミックなどの人工関節に入れ替えることで、痛みを軽減し、動きやすさを取り戻し、筋力も向上させることができます。これにより生活の質(QOL)の向上が期待できます。 近年では手術技術の進歩により、術後にスポーツを再開する方も増えており、日本国内でも多くの患者さんがこの治療を受けています。

2. 痛みの少ない手術、早期リハビリプロトコール

術後の痛みをできるだけ軽減するために、体への負担が少ない低侵襲手術に加え、複数の薬剤を組み合わせて痛みを抑える「マルチモーダルペインコントロール」を取り入れています。これにより、副作用を抑えながら術後早期からリハビリに取り組めるよう工夫しています。 また、炎症や腫れはスムーズなリハビリの妨げとなるため、術後には専用のアイシングシステムによる「クライオセラピー(冷却療法)」を導入。持続的な冷却で、疼痛や腫れ、炎症の軽減が期待できます。 皮膚の縫合には吸収糸を使用し、状態に応じて専用テープなどで固定するため、基本的に抜糸は不要で、傷跡も目立ちにくくなっています。

3. 透視X線診断装置や骨密度測定装置などの最新の設備

当院では、ひざや股関節の状態を正確に評価するために、透視X線診断装置や骨密度測定装置といった最新の医療機器を導入しています。これにより、関節の変形や骨の質を的確に把握し、より適切な治療方針を立てることが可能です。迅速で正確な診断が、治療の精度と患者さんの安心につながります。

4. ひざ・股関節に対する再生医療

手術によらないPRP療法の導入により、手術以外の選択肢の幅を広げます。自分の血液を使用した最新の再生医療で、保存加療と手術加療の中間の治療として近年注目されています。関節痛に対する保存療法が効果乏しく、手術にも踏み切れない患者様は是非ご相談ください。

5. 充実したリハビリテーション

人工関節手術の効果を最大限に引き出すためには、リハビリが非常に重要です。当院では手術の翌日からリハビリを開始し、早期離床を目指して歩行器による歩行訓練や関節の可動訓練を行います。退院後の生活を見据え、階段昇降や床上動作、浴槽のまたぎ動作など、実生活に即した訓練も行っています。 また、地域包括ケア病棟と回復期リハビリテーション病棟を備えており、独居や在宅生活に不安がある方にも、必要に応じて十分なリハビリ期間を確保できます。退院後の在宅療養に対する支援体制も整っており、安心して生活を再開していただけます。 リハビリは365日体制で実施しており、週末も対応。画一的な入院期間にとらわれず、患者さんの回復状況や希望に応じた早期退院も可能です。入院から退院後の生活まで、多職種が連携し、切れ目のないサポートを行っています。

股関節の疾患・治療

股関節の仕組み

股関節は、骨盤と大腿骨をつなぐ球関節で、骨盤側の受け皿「寛骨臼」に、大腿骨の先端「大腿骨頭」がはまり込む形で構成されています。下肢と胴体をつなぐ重要な関節であり、歩行や立ち上がりなどの日常動作に欠かせません。 関節の表面は軟骨で覆われており、衝撃を吸収しながらスムーズな動きを助けています。さらに、股関節は「関節包」と呼ばれる袋状の組織に包まれ、その中にある「関節液」が潤滑油のような役割を果たしています。周囲には筋肉や靭帯が張り巡らされており、関節を安定させながら自然な動きを支えています。 歩行時には体重の約3倍、立ち上がる動作では6〜7倍もの力が股関節にかかるとされており、日常生活の中で非常に大きな負担がかかる関節です。

股関節の疾患

変形性股関節症

股関節の軟骨がすり減ることで痛みが生じる病気で、特に女性に多いのが特徴です。多くは、幼少期の股関節の発育不全(臼蓋形成不全)により、骨盤側の受け皿が浅いことが原因とされています。 主な症状は、足の付け根の痛みや違和感、動きの制限、ひきずるような歩き方(跛行)などで、お尻や膝に痛みが出ることもあり、他の病気と間違われることもあります。進行すると脚の長さに差が出たり、階段の昇り降り、爪切りや正座が困難になるなど、日常生活に支障が出てきます。 治療はまず、生活指導や運動・薬物療法などの保存療法から始めますが、状態によっては早期の手術が必要となる場合もあります。

特発性大腿骨頭壊死

股関節の中心にある大腿骨頭が壊死してつぶれることで痛みを引き起こす病気です。アルコールの過剰摂取やステロイドの使用と関連が指摘されていますが、原因はまだ明確でなく、国の難病にも指定されています。進行すると大腿骨頭が陥没し、歩行が困難になることがあります。症状が重い場合は、人工股関節置換術が必要になることもあります。

関節リウマチ

全身の関節に起こる炎症性の疾患です。原因はまだはっきりとしていませんが、本来は異物を排除する免疫系が自分の細胞を攻撃してしまうことで様々な症状を起こす自己免疫性疾患と考えられています。進行すると関節軟骨がや骨が破壊され、関節の変形を来たします。

人工股関節全置換術(THA)について

人工股関節全置換術(Total Hip Arthroplasty:THA)は、傷んだ股関節を人工の関節に置き換える手術です。主に変形性股関節症や大腿骨頭壊死症などによって、関節の痛みや可動域制限が強く、日常生活に支障をきたしている方が対象となります。 手術では、すり減ったり変形した関節部分を切除し、骨盤側にはカップ状の人工の受け皿(寛骨臼コンポーネント)、大腿骨側にはボール状の人工骨頭と、それを支えるステム(柄)を挿入します。素材には主に金属、セラミック、ポリエチレンなどが使われ、安全性・耐久性ともに高いものが選ばれます。 THAにより、股関節の痛みの軽減や可動域の改善が期待でき、多くの方が術後に歩行や日常生活動作をスムーズに行えるようになります。技術やインプラントの進歩により、現在では長期的な耐久性も向上しており、若年者への適用も広がっています。

ひざ関節の疾患・治療

ひざ関節の仕組み

ひざ関節は、大腿骨(太ももの骨)、脛骨(すねの骨)、そして大腿四頭筋に支えられた膝蓋骨(お皿の骨)の3つの骨で構成されています。大腿骨が脛骨の上を滑りながら転がることで、膝の曲げ伸ばしが可能になります。 骨の表面はクッションの役割を果たす軟骨で覆われており、その間にある半月板も関節にかかる衝撃を吸収しています。また、大腿骨と脛骨は前後の十字靭帯や側副靭帯といった強靭な靭帯でつながり、関節の安定性を保っています。

ひざ関節の疾患

変形性膝関節症

変形性膝関節症は、「一次性」と「二次性」に分けられます。日本では、加齢による軟骨のすり減りなどが主な原因となる一次性が多くみられます。進行に伴い骨の縁に骨棘(こつきょく:骨のとげ)ができ、膝がO脚(内反変形)になるケースが一般的です。 女性に多く発症し、とくに肥満との関係が強いとされています。膝には歩くだけで体重の約3倍の負荷がかかるため、予防や進行を抑えるには体重管理が非常に重要です。 症状には波がありますが、徐々に進行していく傾向があり、変形も次第に目立ってきます。治療はまず保存的な方法(運動療法・薬物療法など)から始めますが、痛みが強くなり日常生活に支障をきたす場合、我慢せずに対処することが大切です。 「痛みのない脚」で快適な生活を送るために、手術という選択肢もあります。つらい症状でお困りの方は、お早めにご相談ください。

大腿骨顆部骨壊死

大腿骨顆部は体重を支えるのに重要で、過度なストレスが加わり壊死に陥ることがあります。原因としてステロイド投与や半月板損傷後などに脆弱性骨折(軽微な外傷により軟骨下骨に微小骨折を生じる)が起こり壊死に至るとされています。安静にしていても痛みが出たり、夜間寝ている間に痛みが出ることもあります。

関節リウマチ

自己免疫性疾患(免疫の異常によって、体の正常組織を障害してしまう)の一種で全身のあらゆる関節の軟骨が障害される病気です。治療の基本は薬物治療で、近年は新薬の開発により治療成績が飛躍的に向上しています。しかしながら、膝・股関節などの大関節が障害を受けると日常生活が大きく障害されるため、人工関節が必要となることがあります。

ひざ関節の治療

人工膝関節全置換術(TKA:Total knee arthroplasty)

傷んだ関節の表面を人工関節に合わせて整形し、金属やセラミック、ポリエチレンでできた人工関節を骨に固定する手術です。これにより関節の動きがスムーズになり、O脚やX脚などの変形も改善され、脚の形がまっすぐになります。人工関節は高い耐久性を持ち、手術後10年間問題なく過ごせる確率は95%以上とされています。さらに、最近の人工関節は性能が向上しており、20〜30年以上の長期使用も十分期待できるようになっています。

人工膝関節単顆置換術(UKA:Unicompartmental knee arthroplasty)

関節の中で傷んだ部分だけ(多くは内側半分)を人工関節に置き換える手術です。手術で削る骨の量や切開が少ないため、術後の痛みが軽く、回復が早いのが大きな特長です。また、膝の可動域も良好に保たれやすい傾向があります。耐久性も十分にありますが、人工膝関節全置換術に比べると手技がやや難しく、適応の見極めが重要です。変形が比較的軽度で、外側の軟骨や靱帯に異常がないことが前提となるため、術前には専門医の診断を受け、十分に相談することが大切です。

高位脛骨骨切り術(HTO:high tibial osteotomy)

当院では、骨を開く「オープニングウェッジ法」を採用しています。これは脛骨(すねの骨)に切れ目を入れて間を広げ、O脚を軽度のX脚に矯正し、プレートで固定する手術です。体重のかかる軸を外側に移すことで痛みを軽減し、軟骨の再生も期待できます。 人工関節と異なり、関節を残す“関節温存手術”である点が特徴です。関節機能を保ちつつ、ひざを深く曲げる可動域も維持でき、スポーツなどの活動制限もほとんどありません。そのため、比較的若く、軟骨がある程度残っている方に適しています。 一方で、骨が癒合するまで時間がかかるため、リハビリや社会復帰にはやや期間を要する点がデメリットです。

専門医のご紹介

毎週火曜日は膝・股関節の専門医である藤井先生が外来担当しております。藤井先生は院長の医局の1つ上の先輩で、人工関節手術の有名なゴッドハンド医師です。 生涯の人工関節手術は1,500件以上執刀されています。
通常は3時間程度かかる大きな手術も1時間程度で行われています。
現在は南大和病院整形外科部長として、現役バリバリでご活躍されております。
膝や股関節の症状でお悩みの患者様、ぜひご相談ください。
また、この地域に少ないリウマチ専門医でもあります。
手術以外にも再生医療など多数ご経験がありますので、患者様のお役に立てると思います。
宜しくお願い致します。

出身校 群馬大学 医学部卒
専門 人工関節、変形性関節症、関節リウマチ、骨粗鬆症
資格
  • 医学博士
  • 日本整形外科学会指導医
  • 日本整形外科学会専門医
  • 日本整形外科学会リウマチ医
  • 日本リウマチ学会専門医
  • 日本人工関節学会認定医
  • 日本骨粗鬆症学会認定医

副院長藤井 淳平

JUNPEI FUJII

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