About当院の脊椎手術について
当クリニックの手術は脊椎手術1000症例以上を経験し
脊椎治療のエキスパートである田辺院長が提携病院にて行います。
術後は定期的に回診します。
最小出血量、最短手術時間により早期退院・早期社会復帰を目指し、
安全で確実な治療を心がけています。
当院における脊椎治療は3つの大きな利点があります。
01.脊椎専門クリニックならではの良さ
大学病院や総合病院では様々な医師が診療にあたり、実際にはトレーニング中の若手医師が外来診察や手術を行うことが多いことが現状といえます。当院ではすでに数多くの脊椎疾患の治療を経験し脊椎脊髄指導医である院長が、患者様ひとりひとりに責任を持って診察や手術を行っております。
02.脊椎内視鏡手術/最小侵襲手術から成人脊柱変形手術まで幅広く手術可能
内視鏡手術や最小侵襲脊椎手術は創が小さく、筋肉や靱帯を温存することが可能で、術後の痛みが少なく、手術当日から体を起こすことも可能です。身体への負担が少なくすむため、早期の退院が可能になるなど利点が多い手術です。その侵襲の少なさから高齢者の患者様にもメリットの多い治療方法です。また、腰曲がりや首下がりなどの成人脊柱変形手術は一般に難易度の高い手術になりますが、脊椎専門の提携病院で安全第一に手術を行っております。
03.丁寧な診察
院長はキャリアの中で、頚椎治療における日本トップクラスの横浜南共済病院で頚椎疾患の診断や手術治療について充分な教育を受けています。頚椎疾患の正確な診断のためには全身の筋力や知覚、腱反射など、丁寧で専門的な診察が必要です。また、腰痛や側弯治療の権威である名城病院で腰椎疾患や脊柱変性疾患の診察・治療のトレーニングを積んでおります。画像所見のみに頼らず患者様の本当に困っていることをしっかりお聞きし、丁寧に診察を行うことを心がけています。
対象疾患
頚椎の代表的な疾患及び手術治療の解説
頚椎は7個の椎骨から構成されており、骨と骨との間にクッションとしての椎間板とそれらを取り巻く靭帯によって頭を支え、かつ滑らかに可動しております。一方で脊椎は神経を入れる骨の管(脊柱管)を構成し、頚椎は首から下の全ての機能をつかさどる脊髄とその枝の神経根を保護しています。脊柱管の中の神経を圧迫されるようになると症状があらわれます。
主な症状は首・肩から手足にかけての痛みやしびれ、箸をもつことやボタンを掛けるのが難しいなどの上肢症状や、階段が昇りにくい、スリッパが脱げやすいなどの下肢症状が一般的です。症状が進行しますと、歩けなくなったり、おしっこが出にくくなったりします(膀胱直腸障害)。
頚椎疾患の一般的な病気には、頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症性脊髄症、頚椎後縦靭帯骨化症、首下がり症候群などがあります。以下それぞれの病態と手術治療について説明します。
頚椎椎間板ヘルニア
■ 頚椎椎間板ヘルニアとは
椎間板の変性がベースにあり、椎間板が神経を圧迫して急激に症状を引き起こすことが多い病態です。絶えがたい頚部~上肢痛が主な症状であることが多いことが特徴的です。
■ 治療法について
手術は首の前方から頚椎の前面に到達して顕微鏡を用いて椎間板を摘出し、自家骨やケージ(金属のスペーサー)を挿入し固定します(頚椎前方固定術)。
頚椎症性脊髄症
■ 頚椎症性脊髄症とは
頚部脊柱管において脊髄が椎間板や骨の棘などにより慢性的に圧迫される病態であり、経過が長く症状がゆっくりと進行することが一般的です。症状は緩解と増悪を繰り返しながら徐々に進行するのが特徴的です。
■ 治療法について
手術は首の後方から脊柱管を構成する骨を開いてスペーサーなどを挿入し、神経の圧迫を取り除く方法(頚椎椎弓形成術)が一般的な手術方法です。
頚椎後縦靱帯骨化症
■ 頚椎後縦靱帯骨化症とは
脊柱管の前の部分にある靭帯(後縦靭帯)が骨化し神経を圧迫する病気です。原因はいまだに不明で国の特定疾患に指定されている東洋人に多い疾患です。症状が出る頃には神経はかなり圧迫されていることが多く、外傷などにより急激に増悪することがあります。
■ 治療法について
手術は頚椎前方固定術か、後方より神経圧迫を取り除いたうえで金属による脊椎固定を行なう頚椎後方除圧固定術が一般的です。
首下がり症候群
■ 首下がり症候群とは
首が垂れて前を向けない(前方注視障害)病気であり主に頚部の筋力低下がみられます。現在でも病態解明は十分にされていません。四肢のしびれや麻痺などの脊髄症状を呈することもあります。
■ 治療法について
首下がり症候群の原因は多岐に渡り、原疾患のある場合はその治療が必要です。また筋力を改善するためのリハビリテーションが大切です。保存加療を行っても効果が得られない場合で、患者さんが希望される場合には、手術治療が行われます。手術はスクリューを挿入し弯曲を矯正しロッドで固定する手術が行われます。一般的には長範囲固定となるため、複数のスクリューを挿入することとなります。脊髄機能モニタリングを併用して、可能な限り安全に手術を行っております。
腰椎の代表的な疾患及び手術治療の解説
腰椎の主症状として、腰痛や下肢痛・しびれがあげられます。原因となる部位は腰椎の椎間板・椎間関節や馬尾神経、神経根、仙腸関節など多岐にわたります。
馬尾神経や神経根が圧迫を受けると下肢にさまざまな症状を引き起こします。保存治療によって軽快する場合もありますが、神経麻痺を伴う場合には手術治療が必要になります。代表的な疾患としては、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、腰椎変性すべり症、腰椎分離すべり症などがあります。以下に主な疾患の病態と手術治療について説明します。
腰椎椎間板ヘルニア
■ 腰椎椎間板ヘルニアとは
腰椎椎間板ヘルニアは、椎間板軟骨の変性や外力によって椎間板が神経を圧迫して神経症状をおこす病気です。保存療法が効果の無い場合や神経麻痺・膀胱直腸障害が出現した場合に手術治療を行っています。
■ 治療法について
手術時間は難易度にもよりますが概ね30分~60分程度で、出血はほとんどありません。
術後は翌日より歩行でき、翌々日には退院可能となります。内視鏡でのヘルニア切除術は皮膚の切開が小さく、筋肉の剥離もほとんどないため体にかかる負担がとても小さい低侵襲手術です。スポーツ選手や若い方で傷を小さく、回復を早くしたいかたにはとても有効な方法です。
内視鏡下ヘルニア摘出手術(MED)の他に、顕微鏡下ヘルニア摘出術や直視下ヘルニア手術(Love法)を行なっております。高度脊柱管狭窄を合併する症例は顕微鏡下手術、再手術例や直視下操作が必要な症例はスタンダードなLove法を適応しております。どの術式も、手術後の改善度に大きな違いはなく、強い下肢痛やしびれは改善していきますのでご安心下さい。
腰部脊柱管狭窄症
■ 腰部脊柱管狭窄症とは
腰部脊柱管狭窄症は、脊柱管が狭くなり、その中の馬尾神経や神経根が圧迫されて症状をおこす病気です。典型的な症状は、間欠性破行(50-100m歩行すると腰痛、下肢痛、下肢のしびれ、下肢のツッパリ感が出現してそれ以上歩けなくなります。座って前かがみになると症状がすぐに消失し、また歩けるようになります。)です。保存治療が有効でない場合や重度の神経障害(膀胱直腸障害、下肢筋力低下)を伴う場合は手術治療が必要です。
■ 治療法について
手術はまず原則として神経圧迫を取り除きます(除圧術)。また、手術前にすべり症など不安定性があると判断される場合は、脊椎を安定化させる腰椎固定術が必要となります。不安定性のある場合、除圧術のみ行うと手術後に神経症状の再燃や慢性腰痛が残る可能性が高くなります。
腰椎変性すべり症
■ 腰椎変性すべり症とは
腰椎変性すべり症は、脊骨が前後にずれて馬尾神経や神経根が圧迫されて症状がおこります。腰椎の不安定性が大きく、頑固な腰痛や神経障害(下肢筋力低下、膀胱直腸障害)を伴うと手術が必要です。
■ 治療法について
手術は愛護的に神経の除圧を行い、手術中レントゲン透視下に確実なインストゥルメンテーション(脊椎骨を固定する金属インプラントを使用した手術方法)を用いた脊椎固定術を行います。最新の低侵襲脊椎固定術であるXLIF(側方進入椎体間固定術)やMini-open TLIF、オーソドックスなPLIFという手技など行っています。傷も数センチで、術翌日から歩行可能で、術後入院期間は7-10日です。
脊椎椎体骨折(骨粗鬆症性椎体骨折)
■ 脊椎椎体骨折(骨粗鬆症性椎体骨折)とは
骨粗鬆症性椎体骨折とは、骨粗鬆症に起因して比較的弱い外力によって生じるものであり、圧迫骨折とも呼ばれます。胸腰椎移行部に生じることが多く、強い疼痛を伴います。いくつもの場所に多発性に椎体骨折が生じると背中が丸く、身長が低くなり、変形による痛みや歩行障害が生じることもあります。骨破壊が高度になると脊髄損傷による麻痺を生じるなど様々な症状を呈します。
■ 治療法について
骨粗鬆症性椎体骨折の治療は、コルセットやギプスなどで体幹を外固定する治療に、鎮痛剤やリハビリテーションを組み合わせた保存療法を行うのが一般的です。保存療法が無効な場合や早期に除痛を得たい場合には、経皮的椎体形成術 (BKP:Ballon Kyphoplasty) と傷も小さく、体への負担が小さい治療を実施しております。具体的には全身麻酔下に、まず約5mmの皮膚切開から経皮的に骨折椎体にバルーンを挿入、拡張させることで椎体高回復を図り、セメントが入る空洞を作ります。その後、椎体内に形成された空洞に高粘度のセメントを充填し、椎体を安定化する方法です。術後は速やかに骨折の痛みは消失し翌日より歩行可能となります。その後の骨折予防については骨粗鬆症の治療が重要です。薬物療法に加えて食事療法や背中や脚の筋肉を鍛えて転倒しないようにする運動療法を組み合わせて行います。また、骨折後の脊柱の変形により生活に支障が残る場合は、インプラントによる矯正固定術も行っています。
腰椎変性後側弯症(成人脊柱変形)
■ 腰椎変性後側弯症(成人脊柱変形)とは
成人脊柱変形には脊柱後弯症、後側弯症などがあります。頑固な腰殿部痛や、姿勢異常、下肢の神経痛などにより、立位、歩行が困難となります。逆流性食道炎などの消化器症状を呈することもあります。近年では、様々な保存的治療で改善が見られない場合には、手術治療を行うことも増加しています。
■ 診断・治療法について
全脊柱レントゲン写真やCT、MRIなどの検査を行い、その人に最適なバランスを十分に吟味して変形矯正固定術を行います。XLIF(側方進入椎体間固定術)と呼ばれる新しい矯正固定法を用い、2回に手術を分けて行う2 Stage手術を行い患者さんへの負担を少しでも軽減する方法で手術を行い、良好な成績が得られています。