
圧迫骨折とは、背骨を構成する椎体が、押しつぶされるように変形する骨折です。骨粗鬆症で骨が弱くなっていると、転倒や尻もちだけでなく、重い物を持つ、せきやくしゃみなどの軽いきっかけで起こることがあります。
強い痛みが出る場合だけでなく、はっきりしたきっかけや痛みがないまま進む「いつの間にか骨折」もあります。背中や腰の変化が続く場合は、年齢のせいと決めつけず、整形外科で原因を確認することが大切です。
圧迫骨折とはどのような状態ですか?
圧迫骨折は、脊椎の椎体が上下からの力に耐えられず、前方を中心につぶれるように変形する骨折です。一般に「脊椎椎体骨折」と呼ばれることもあり、胸椎と腰椎の境目に起こりやすいとされています。
背骨の椎体にはどのような変化が起こりますか?
椎体は、背骨の前方にあるブロック状の骨で、上半身の重さを支えています。椎体がつぶれると、背骨の形や身体のバランスが変化し、痛みや背中の曲がりにつながることがあります。
圧迫骨折は、骨折した場所だけの問題とは限りません。背骨の変形が進むと、姿勢を保つ筋肉に負担がかかり、立つ・歩く・家事をするなどの日常動作がつらくなることがあります。症状の程度を確認しながら、生活への影響も含めて治療を考えます。
骨粗鬆症性と外傷性はどう違いますか?
骨粗鬆症性の圧迫骨折は、骨の強度が低下した状態で小さな外力が加わって起こります。一方、交通事故や高所からの転落など、強い外力による外傷性の骨折もあります。原因によって検査や治療の考え方が異なります。
転倒や外傷の状況がはっきりしている場合は、圧迫骨折だけでなく、肋骨や骨盤など別の部位の損傷を伴っていないかも確認します。痛みの場所が背中だけとは限らないため、受傷状況をできるだけ詳しく伝えてください。
圧迫骨折の主な原因
圧迫骨折の大きな背景には、骨粗鬆症による骨のもろさがあります。骨密度が低下していても自覚症状は出にくいため、骨折をきっかけに骨粗鬆症が見つかることもあります。
いつの間にか骨折が起こる理由
骨が弱くなっていると、体重を支えるだけの負荷や、前かがみになる動作で椎体が少しずつつぶれることがあります。強い衝撃がないため本人が気づきにくく、痛みが軽いまま背中の曲がりや身長低下だけが進む場合もあります。
転倒や重い物がきっかけになる場合
尻もち、転倒、重い荷物を持ち上げる動作などがきっかけになることがあります。骨が丈夫な方でも強い外力があれば骨折する可能性があるため、転倒後に背中や腰が痛むときは、無理に動かし続けないようにしてください。
どのような症状が出ますか?
代表的な症状は、背中や腰の痛みです。寝返り、起き上がり、立ち上がりなど姿勢を変えるときに痛みが強くなることがあります。ただし、症状の程度には個人差があり、痛みの強さだけで骨折の有無は判断できません。
動くと痛みが強くなるのはなぜですか?
骨折した部位に負担がかかると痛みが増すため、起き上がる、歩く、体をひねるといった動作で痛みを感じることがあります。安静にすると軽くなる場合でも、痛みが続く、動作のたびに繰り返す場合は受診を検討してください。
痛みの部位や強さは、骨折の場所、骨のつぶれ方、発症からの期間によって変わります。背中の痛みが筋肉痛に似ていても、数日たっても改善しない、寝返りや起き上がりが難しい場合は、自己判断で運動を続けずに相談しましょう。
痛みがなくても起こることがあります
骨粗鬆症を背景とする椎体骨折では、痛みが目立たないことがあります。身長が縮んだ、背中が丸くなった、以前より服の丈が余るようになったなどの変化が続く場合は、骨粗鬆症性の骨折がないか確認することが大切です。
放置せず受診したいサイン
背中や腰の痛みが続く場合だけでなく、身体の形や歩き方に変化がある場合も整形外科で相談してください。特に神経の症状を伴う場合は、早めの評価が必要です。
背中が丸くなる・身長が縮む変化
椎体骨折が複数起こると、背中が前に曲がる円背や身長低下が目立つことがあります。これらは加齢による姿勢変化だけとは限らないため、骨密度や過去の骨折歴とあわせて確認します。
足のしびれや力の入りにくさがあるときは?
骨折した椎体の変形や骨片が神経を圧迫すると、足のしびれ、脱力、歩きにくさが出ることがあります。排尿・排便の異常、急に力が入らない、強い痛みが続く場合は、通常の受診を待たず早急に医療機関へ相談してください。
神経症状がある場合は、骨折の位置や脊柱管への影響を詳しく調べる必要があります。症状が片側だけか両側か、いつから変化したか、歩行や階段にどの程度影響しているかを記録しておくと、診察で伝えやすくなります。
どのような検査で診断しますか?
診断では、痛みが始まった時期やきっかけ、痛む場所、動作との関係を確認し、背中の形、圧痛、下肢の筋力・感覚・反射などを診察します。画像検査は、骨折の有無だけでなく、骨折の新しさや神経への影響を確認するために行います。
レントゲン検査で確認する内容
レントゲンでは、椎体のつぶれ、骨の並び、背骨の曲がりなどを確認します。初期の骨折や骨折の程度によってはレントゲンだけで判断しにくいことがあり、症状や診察所見に応じて追加検査を検討します。
MRIやCTはどのような場合に追加しますか?
MRIは、骨折が新しいものか、脊髄や神経への影響があるかを確認するのに役立ちます。CTは、骨折の形や骨片、脊柱管との関係を詳しく見るときに使われます。必要な検査は症状や既往歴によって異なります。
強い痛みが続く、レントゲンで判断しにくい、神経症状がある、腫瘍など別の病気を考える必要がある場合は、追加の画像検査が検討されます。検査結果は画像だけで判断せず、症状や診察所見と合わせて評価します。
当院では、診察やレントゲンなどを行い、MRI・CTが必要な場合は検査体制を確認のうえご案内します。MRI・CTを院内で実施すると誤認される表現は避け、受診時に検査場所や予約方法をご確認いただく形でご案内します。

受診をご検討の方へ
急な背中の痛みや身長の変化が気になる場合は、早めに医療機関へご相談ください。
※症状や治療方針は状態により異なります。
圧迫骨折の治療方針
治療は、骨折の程度、痛み、神経症状、骨粗鬆症の有無、全身状態などをもとに決めます。すべての方が同じ治療になるわけではなく、画像の所見と日常生活への影響を総合して判断します。
コルセットや動作調整による保存療法
軽度の骨粗鬆症性椎体骨折では、コルセットなどで体幹を支え、前かがみや痛みを強める動作を調整しながら経過をみることがあります。痛み止めの使用や、状態に応じたリハビリテーションを組み合わせる場合もあります。
長期間の過度な安静は体力低下につながるため、どの動作を控え、どの範囲で活動するかを医療者と確認することが重要です。
手術はどのような場合に検討しますか?
保存療法を行っても痛みが長く続く、骨折部が不安定、変形が進む、骨片が神経を圧迫しているなどの場合は、手術を検討することがあります。手術の適応は一律ではなく、症状や全身状態、治療の利点とリスクを確認して決めます。
当院で手術が必要と判断された場合は、提携病院での手術を含めて治療計画をご説明します。手術の内容、入院期間、合併症の可能性などは、個別の診察結果に基づいて確認します。
再発予防で骨粗鬆症を確認する理由
圧迫骨折を一度起こした場合、別の椎体や他の部位の骨折を防ぐため、骨粗鬆症の評価と治療を検討することが大切です。骨折の治療だけでなく、骨の状態を確認することが再発予防につながります。
骨密度と骨折歴を確認する
骨密度検査、血液検査、これまでの骨折歴や服薬状況などを確認します。骨密度の数値だけで治療方針が決まるわけではなく、年齢、既往歴、骨折リスクなどを合わせて判断します。
転倒を防ぐ生活環境はどう整えますか?
足元の段差や暗い場所を見直し、歩行に不安がある場合は無理をしないことが大切です。運動やリハビリは、骨折の状態を確認したうえで、痛みや体力に合わせて行います。
食事では、特定の食品だけに頼るのではなく、主食・主菜・副菜を組み合わせることが基本です。カルシウムやビタミンDなどの摂取、日中の活動、喫煙や過度の飲酒などについても、持病や服薬を踏まえて医療者に相談してください。
横浜市緑区・十日市場で脊椎外来を受診する流れ
当院は、JR横浜線「十日市場駅」から徒歩約1分の脊椎外科・整形外科・リハビリテーション科のクリニックです。圧迫骨折が疑われる背中や腰の痛み、身長低下、背中の曲がり、足のしびれなどを相談できます。
受診前に伝えたい内容
痛みが始まった時期と、転倒・尻もち・重い物などのきっかけ
痛む場所、姿勢を変えたときの痛み、夜間や安静時の痛み
背中の曲がりや身長の変化に気づいた時期
足のしびれ、力の入りにくさ、歩行や排尿の変化
骨粗鬆症の治療歴、骨密度の結果、現在の薬
当院では検査や手術についてどのように案内しますか?
診察では症状と神経の状態を確認し、必要な検査や治療の選択肢をご説明します。一般外来は予約なしでも受診できますが、予約方法や診療時間は変更される場合があるため、受診前に公式サイトで最新情報をご確認ください。
所在地は〒226-0025 神奈川県横浜市緑区十日市場町819-13、電話番号は045-983-1154です。
よくある質問
圧迫骨折は自然に治りますか?
軽度の骨粗鬆症性椎体骨折では、コルセットなどの保存療法で経過をみることがあります。ただし、痛みの原因や骨折の程度は自己判断できないため、受診して治療方針を確認してください。
圧迫骨折は痛みがなくても起こりますか?
起こることがあります。痛みが乏しくても、背中が丸くなる、身長が縮む、以前より姿勢が変わったなどの変化がある場合は、整形外科で相談してください。
圧迫骨折で入院や手術が必要ですか?
すべての方に入院や手術が必要になるわけではありません。骨折の安定性、痛み、神経症状、全身状態などを確認し、保存療法を含めて個別に判断します。
圧迫骨折の検査はレントゲンだけで十分ですか?
レントゲンで確認できることは多い一方、初期の骨折や神経への影響を詳しく確認するためにMRIやCTを検討する場合があります。必要な検査は診察結果によって異なります。
圧迫骨折を予防するには何をすればよいですか?
骨粗鬆症の評価と治療、転倒予防、状態に合った運動が基本です。骨折歴がある方や身長低下・背中の曲がりが気になる方は、骨密度検査などについて医療機関で相談してください。
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参考文献
公益社団法人 日本整形外科学会「脊椎椎体骨折」: https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/vertebral_compression_fracture.html
公益財団法人 骨粗鬆症財団「どんな病気」: https://www.jpof.or.jp/osteoporosis/tabid249.html
厚生労働省「骨粗鬆症用薬の臨床評価方法に関するガイドラインの改訂について」: https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc2806&dataType=1&pageNo=1
厚生労働省 e-ヘルスネット「骨粗鬆症の予防のための食生活」: https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-02-007.html
厚生労働省「医療広告規制について」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/index.html
たなべ整形外科 横浜脊椎オペクリニック 公式サイト: https://yokohama-spine.com/
たなべ整形外科 横浜脊椎オペクリニック院長
たなべ整形外科 横浜脊椎オペクリニック 院長 田辺博宣
医学博士。日本整形外科学会認定 整形外科専門医。日本脊椎脊髄病学会認定 指導医。日本骨粗鬆症学会認定医。脊椎外科を専門とし、腰椎疾患、成人脊柱変形、骨粗鬆症性椎体骨折などの診療を行っています。横浜市立大学医学部卒業後、大学病院・関連病院で脊椎外科の研鑽を積み、2022年に当院を開院しました。
